がけに隣接する物件

がけに隣接する物件の場合、下記に該当する可能性があります。

・がけ条例

・土砂災害(特別)警戒区域

・急傾斜地崩壊危険区域

 

①がけ条例

 

「自分の家はがけの隣ではないから関係ないよ。」と思う人は多いです。

しかしながら建築基準法では「がけ」とは一般的に「2mまたは3mを超える高低差があり、

30度を超える傾斜をなす土地」とされています。(福岡県の条例では3mです。)

 

例えば写真のように家が道路より2~3mほど高くなってるケースは決して珍しくないですよね。

このような場合もがけ条例の制限を受けます。

がけ条例(正式には福岡県建築基準法施行条例第5条)とは簡単に言うと、

がけのすぐ上と下(ざっくり言うと高さの2倍だけ距離を離さないと)

居室を有する建築物を建築してはならないと言う決まりです。

 

ただし、擁壁を設置したり地盤が強固であったりしてがけの崩壊が発生しないと

認められる場合は建築物の設置が認められます。

上の写真のように擁壁を設置している場合は殆どこのケースに該当します。

 

②土砂災害警戒区域

 

がけが2-3m程度ではなくもっと大きな場合、

土砂災害警戒区域に該当する可能性があります。

 

がけ条例は建築基準法の制限ですが、土砂災害警戒区域は通称「土砂災害防止法」の制限です。

http://www2.sabomap.jp/fukuoka/

福岡県の場合、上記で該当しているかどうかが確認できます。

通常イエローゾーン(土砂災害警戒区域)とレッドゾーン(土砂災害特別警戒区域)に

分けられ、レッドゾーンの場合では、想定される衝撃の力に耐えられるよう

居室を有する建築物の構造が規制されます。

 

③急傾斜地崩壊危険区域

 

上記と同じように大きながけに隣接する土地で急傾斜地危険区域と言う物があります。

紛らわしいのですが、②の土砂災害防止法の中に「急傾斜地崩壊危険箇所」という用語がありますが、

これとは全く別物です。

 

急傾斜地崩壊危険区域は急傾斜地法により定められており、区域内で居室のある建築物を計画する場合、

福岡県知事の許可および特定行政庁の認定の両方が必要となります。

 

福岡県の場合、下記で概ねの位置を確認できますが、詳細な位置は県土整備事務所砂防課にて確認します。

http://www.sabo.pref.fukuoka.lg.jp/saboushitei/images/1.pdf/

 

ちなみに急傾斜地崩壊危険区域の指定については、少なくとも5戸以上に影響がある場合において、

周辺住民が自ら「要望書」を県へ申請します。

 

崖の崩壊に伴い危険性があると思われる土地所有者全員の同意が必要となるため、

全ての所有者の同意が得られず申請が止まるケースも珍しくありません。

 

抜本的な防災工事をするには過大な費用を要し、個人の資力では限界があるため

県が、市民の安全性の確保のために急傾斜地崩壊危険区域の指定と

無償での擁壁工事等を推進していることが背景があります。

 

急傾斜地崩壊危険区域に指定されている箇所は、県により堅牢な擁壁等が設置されますので、

そのまま崖を放置している場合と比較して、個人的には住戸の安全性は担保されているように思えます。

 

以上、三点に渡ってご説明しましたが如何でしたでしょうか。

この三つはそれぞれが別の規定として存在しているので重複する事が珍しくありません。

関係性を図であらわすと下記のようなイメージでしょうか。

ご参考まで。調査は我々プロにお任せする事をお勧めします。

会社

次の記事

大漁旗