【売却】福間南三丁目

福間南三丁目で空き家を購入しました。5月下旬の事です。

福間駅徒歩圏内で土地もゆったりして良い物件ですが一点だけ難があります。そのせいで地場の不動産会社からも『売れない』と断られたとの事です。

実は裏側に崖が控えており、所謂がけ条例の対象となるのです。正確には福岡県建築基準法施行条例第5条といいます。

原則、がけ(地盤面が水平面に対し30度を超える傾斜度をなす土地)で高さ3mを超える場合に近接する敷地には、居室を有する建築物を建築してはならないと言うルールがあります。

高さ3mを超えるレベル差は決して珍しくありませんが、そんな土地で一切建物が建てられなくなると困ります。そこで下記4つの例外規定があります。

①がけと距離を離して建てる。

ざっくり言うと崖から高さの倍だけ距離を取れば建てる事ができます。でも余程広い土地でないとそんなに距離を取るのは難しいです。

②基準に適合した擁壁で崖が崩れないよう保護する。

『基準に適合した』と言う所がポイントで、擁壁であれば何でも良い訳ではありません。特に古い擁壁ですと基準に適合してないケースが大半です。この物件の擁壁も下記で基準に適合しません。

さらに境界線が崖下にあり擁壁は隣地の方の所有となりますので勝手に築造替えを行う事はできません。

③がけ上の場合、がけの崩壊により当該建築物が自重によつて損壊、転倒、滑動又は沈下しない構造とする。

具体的には安定角よりも深い位置まで杭基礎を設置するなどがあります。

④がけ下の場合、がけの崩壊に伴う土砂の流入に対して、居室の部分の安全性が確保されている事。

具体的には待ち受け擁壁を設置したり、がけ面の壁を窓のないRC造りとするなどがあります。

今回のケースはこの④しか対策がありません。しかしこの④は、通常の建築物を建てるより費用もかかる上、特殊ケースの為対応できるハウスメーカーも少ないのです。

以上のような理由から、地場の不動産会社が『売れない』と匙を投げたのも気持ちは分からなくはないです。売主様もお困りでしたし、条件も折り合ったので一旦弊社で買い取りさせて頂きました。

当初はリフォームして貸家にする予定でしたが、がけ条例に強い建築士さんや業者さんにお声かけした所、買いたいと言ってくれた所があり、昨日売買契約が成立しました。

④の対策を行って新築住宅を建築されるとの事です。売主様、買主様、ご縁に感謝です。有難うございました。