【空き家再生プロジェクト020】初の赤字撤退…田川市の白蟻物件を「100円」で売却した理由と、私が「これで良かった」と思える理由

アネストホームの代表です。いつもブログをご覧いただきありがとうございます。

弊社はこれまで、数多くの古い物件を仕入れ、丁寧にリフォームを施して「再生」し、次の方へ繋ぐという再販事業を何件も手がけてきました。
しかし今回、私の不動産キャリアの中で「初めて単体の収支で赤字を出してしまった」という事例を、隠さずリアルにお伝えしようと思います。

綺麗ごとだけではない不動産再生のリアルな現場と、それでも私が「この選択をして本当に良かった」と胸を張れる理由について書きました。
空き家の処分にお悩みの方の参考になれば幸いです。

1.相談のきっかけと物件の概要

今回の舞台は、田川市某所にある昭和58年築の中古戸建です。
土地は55坪、間取りは6LDK、さらに車庫が1台分ついているという、ファミリー向けとして十分な広さを持つお家でした。

きっかけは、知り合いの不動産投資家の方からのご相談でした。
「売りに出しているのだけれど、どうしても買い手がつかない。なんとか引き取ってくれないか」という依頼です。

現地を確認すると、かなりの範囲に白蟻(シロアリ)が入っていることが分かりました。

2.プロの目利きと、想定外だった「2階床下」の現実

手を入れる前に、まずはいつもお世話になっている専門の白蟻業者さんに床下を潜って見てもらいました。
「確かに床下の被害は大きいですが、小屋裏(屋根裏)までは達していませんね」という見立てでした。

この物件はベタ基礎で床下も高く、風通し自体は非常に良い造りになっています。
普通に考えればこれほど白蟻が繁殖する環境ではないのですが、原因は明らかな「雨漏りの放置」でした。
水が伝ったことで、白蟻を呼び寄せてしまったのです。

「小屋裏まで被害がいっていないこと」、そして「昭和58年築の新耐震基準の建物であること」を踏まえ、これならしっかりとリフォームすれば十分に再生可能だと判断し、引き取ることを決意しました。

しかし、いざリフォームを開始し、大工さんが2階の床を剥ぐった(めくった)瞬間、想定外の光景が飛び込んできました。
なんと、2階の床を支える重要な躯体(骨組み)が、白蟻に相当激しく食い荒らされていたのです。

大工さんからは「これは耐震性能が大きく損なわれている。万が一大きな地震があったら本当に危ない」と告げられました。
これを完全に修復して賃貸や売買に出すには莫大な費用がかかる上、お客様に住んでいただくにはあまりにもリスクが大きすぎます。

プロとして安全を担保できないと判断し、私はこの物件の「再生」から撤退することを決めました。

3.苦渋の決断、ジモティで「100円」の売り出し

リフォームを中止したとはいえ、そのまま放置するわけにはいきません。
解体するにも大きな費用がかかります。

そこで私は、地域密着の掲示板サイト「ジモティ」に、「100円」という破格の値段で物件を売り出すことにしました。
もちろん、トラブルを防ぐために条件はすべて包み隠さず明記しました。

  • 「躯体が白蟻にかなり食われており、耐震性能が極端に低いこと」
  • 「所有権移転の登記費用は、すべて弊社(アネストホーム)で負担すること」
  • 「固定資産税の精算も行わないこと」

文字通り、買主様は「本当に100円の支払いだけで買える」という破格の設定です。

正直、買い手がつくか不安でしたが、結果は驚くことに問い合わせが殺到。内覧にも10数組もの方々が来られました。
最終的に購入を決めてくださった方は、「すぐ近くで倉庫を月数万円で借りている。ここなら車庫もあるし、荷物置きの倉庫代わりにぴったりだ」という理由でした。

「住居」としてはリスクが高くても、近隣の方の「倉庫」としては大きな価値に変わる――。
不動産の需要の多様さに、私自身も深く勉強させていただきました。

4.今回のリアルな収支公開(約40万円の赤字)

今回の取引にかかった、ざっくりとした収支の内訳がこちらです。

項目 / 内訳 金額(円)
物件購入費 30,000円
弊社(アネストホーム)への所有権移転費用 100,000円
不動産取得税 100,000円
大工さん・白蟻業者さんへの調査・作業支払い 50,000円
次の買主様への所有権移転費用(弊社負担分) 100,000円
令和8年度 固定資産税分 40,000円
【原価 合計】 420,000円
販売価格(ジモティ経由) 100円
最終収支(赤字額) 約 ▲419,900円

5. それでも、私は「これで良かった」と思っています

「2階の床を剥いでみないと分からなかったこと」とはいえ、最初から白蟻の被害があることは承知の上でした。
「そんな危ない物件、最初から手を出さなければ良かったのに」という見方もあるかもしれません。
ビジネスとしては確かに失敗です。

ですが、私は「これで本当に良かった」と心から思っています。

もし弊社がこの物件を引き受けず、手を挙げなければ、このお家は誰にも顧みられることなく、遠からずこの地域で朽ち果てて、近隣に迷惑をかけるだけの「危険な廃墟」になっていたはずです。
しかし今回、形を変えて「倉庫」として再び誰かに活用されることになりました。
街の負動産を一つ、次の未来へ繋ぐことができたのです。

また、赤字となった40万円の内訳のほとんどは、登録免許税や不動産取得税、固定資産税といった「税金」です。
これらは巡り巡って、きっと世の中のため、地域のために使われます。
そう思えば、無駄な出費では決してありません。

6. アネストホームの空き家再生への思い

弊社のように、年に10数軒の古い家を買い続けていれば、時にはこういう想定外のことも起こります。
それでも、私たちはこれからも「地域の困った空き家」から目を背けず、一件一件に真摯に向き合い、最適な再生の道を模索し続けます。
綺麗ごとだけではないからこそ、私たちは経験に基づいた「本物の提案」ができると信じています。

空き家の処分、管理、白蟻被害などで本当にお困りの方は、どうぞお気軽にアネストホームへご相談ください。
失敗も成功もすべて血肉にした私たちが、親身になって最適な解決策を一緒に考えます。

弊社では引続き古い空き家を買取って再生する、空き家再生プロジェクトを推進しております。

アネストホームの空き家再生プロジェクトとは

空き家を処分したいお客様、空き家補修にご協力いただける業者様・職人様、是非お気軽にお声かけください。